2018シーズン最終戦ツール・ド・おきなわ。今年で30回大会となる伝統あるレースです。
コースは沖縄県名護市をスタートし、北部地域を回って名護市に帰ってくる210㎞。中盤から現れる山岳ポイントとその後のアップダウンにより過酷なレースとなります。

ブラーゼンは登りに強い柴田をエースにUCIポイント圏内であるTOP10を目指しました。
序盤の逃げには樋口がチャレンジし、下島と西尾は大人数アタックに注意しつつ柴田のアシストという動きを決めてスタート。

朝6時45分にスタートが切られると、各チームのアタック合戦でペースが上がります。
およそ1時間近く続いたアタック合戦の中から40㎞ほどの地点で下島を含む10名の逃げが決まりました。

▲朝陽を浴びて逃げる下島
©Satoru Kato

 

▲強力な海外勢が含まれる10名の逃げ
©Satoru Kato

メイン集団はスローダウンし最大8分ほどのタイム差がついたところで、逃げに選手を送り込んでいないブリヂストンサイクリングや愛三工業レーシングがメイン集団の牽引を開始。
メイン集団内では樋口が柴田の為に補給を運びながらレースを消化していきます。

 

▲この日のエース柴田を樋口が守って走る
©Satoru Kato

 

最初の山岳ポイントはチームUKYOの畑中選手がトップ通過。タイム差は変わらず7分から8分を推移し、島内の北端を回って大宜味村の海岸線に出ると、マトリックスパワータグも牽引に加わります。
勝負所である2度目の山岳ポイントを前に、樋口と西尾が柴田を好位置に引き上げて登りに突入。KINANサイクリングのトマ・ルバ選手が先頭でペースアップすると集団はバラバラに。
ここまでアシストで力を使ってきた樋口と西尾が遅れ柴田のみがメイン集団に残ります。

▲逃げ集団で登りをこなす下島
©Satoru Kato

 

例年このあたりで捕まることの多い逃げですが、2度目の山岳を越えてもなお逃げ集団が3分以上の差で逃げ続けます。
140㎞地点まで先頭10名で逃げ続けた下島でしたが、アップダウン区間で力尽き後退。柴田のいるメイン集団に吸収されます。

メイン集団からは5名が追走の動きに出て、先頭8名・追走5名・20名程のメイン集団という構図で終盤戦へ。

約170㎞地点まで柴田のための補給を運びつつ粘った下島がやがて遅れメイン集団は柴田のみに。

 

 

▲下島は140㎞地点まで逃げ続けた
©Satoru Kato

序盤から逃げ続けた8名は、追走集団におよそ2分、メイン集団に4分の差をつけて最後の登り羽地ダムへ入ります。
ここでアタックがかかり先頭は4名に絞られ、さらにゴールまで10㎞を切った緩い登り坂通称「イオン坂」でアタックを決めたNIPPO-VINIFANTINIのアラン・マランゴー二選手が独走で優勝。
このレースでの引退を表明していたマランゴーニ選手が劇的な勝利を収めました。

メイン集団は終盤にかけて徐々に脱落者が出て最後は10数名になって先頭から遅れることおよそ4分でゴール。この集団でゴールした柴田が21位となりました。

▲柴田が21位でフィニッシュ
©Satoru Kato

 

▲西尾が遅れてフィニッシュ。9月の負傷しツール・ド・おきなわが復帰戦となった
©Satoru Kato

 

 


リザルト

 

柴田選手のコメント

スタートから50分間のアタック合戦に 樋口、下島さんに対応してもらいました。 下島さんに逃げに入ることが出来ました。そこから2回目の普久川ダム登り口まで樋口、西尾さんに位置取りとボトル運びをお願いしました。平坦での樋口は風よけになり続けてくれて、西尾さんには登り口をいい位置で曲がって貰えた結果、集団前方で登る事ができました。 自分にとって今までに無いようなペースでしたが余裕を持って登り切り、東村へ向かうアップダウンの攻防に向けて準備できました。 1発で逃げに入ってくれた下島さんとは、国頭村の小学校の登り(140km地点)の後で合流。アタックにも対応してもらった上に、最後にボトル2本を受ることができました。 羽地ダムまでのアップダウン向けては自分と同じ状況の選手の動きに注意しました。 そして羽地ダム。昨年はこの場所で、他に合わせて踏むと全く力が入らなくなったので、自分からペースで登り始めることにしました。 愛三、ブリジストン、シマノの選手とペースを刻み、nippo含む前方の選手と合流。 58号線に入ってからは、このグールプ8人全員で高速ローテ回して少しずつポジションを上げてゴール。 

 

今年の大きなレースの分かれ目は、 国頭村〜東村のアップダウンでの追走の動きに入れなかった事。 自分のいたグループから前に追いつけたのは、右京のロービー選手と宇都宮ブリッツェンの4選手でした。 まだこのレベルに自分が達せて居ないことは悔しいです。しかし、チームメイトが全力を尽くしてくれた事で、精一杯走り切ることが出来ました。

これにて僕の2018年シーズンは終了しました。どんな結果でもブラーゼンサポーター、サプライヤー、スポンサーの皆様方に声援を送り続けて頂きました。 そして今年、自分を全レース出場させてくれたチーム、スタッフに感謝致します。 ありがとうございました!
岩井GMコメント
4名の出走となりましたが、チームの力は最大限発揮できたレースでした。
序盤からアタックに行った樋口は結果的に逃げに乗れませんでしたが、代わりに下島を乗せることに成功し良い形でレースが進みました。スプリンター系の下島が二度の山岳を越えられるか不安もありましたが、最後まで逃げ切った強力なメンバーのペースで140㎞まで逃げられたことは、走りの幅が広がって今後がとても楽しみな選手になったと感じました。西尾は怪我の回復がもう少し早ければ…と本調子でなかったことが悔やまれますが、今できることをしっかりとやってくれました。樋口はアタックにボトル運びに位置取りにと陰でよく頑張ってくれました。今年は珍しく逃げ切りが決まりましたが、柴田のいた集団は例年の展開であれば先頭集団になり得るメンバーだったので、21位という順位以上に評価できる走りだったと思います。
最終戦が終わり、今年はJプロツアーの表彰台もUCIポイントも獲得出来ず、満足いくシーズンとはなりませんでした。そんな中でも、いつも変わらずにチームを応援してくださる皆様に御礼申し上げます。チームは早速、来シーズンに向けて動き出します。今後とも変わらぬご声援をよろしくお願いいたします。