東日本ロードクラシック群馬大会Day-3 – JPT第3戦 – 132km
8位 畑中勇介 (TeamUKYO)
14位 佐藤宇志(那須ブラーゼン)
25位 佐藤大志
41位 谷順成
DNF 柴田雅之
DNF 西尾憲人
DNF 渡邊翔太郎
DNF 竹村拓
DNF 下島将輝


3連戦の最終日は3日通じて最長の132kmで争われた。
予想に反して、前半からタフな展開に持ち込まれたレースは、中盤に3名を含む先行集団を形成した宇都宮ブリッツェンから、増田成幸が規格外の実力を見せつけて抜け出しをはかり、最後はマッチスプリントを征した。那須ブラーゼンは、前日も逃げまくった渡邊翔太郎が今回も先行集団に加わる積極性をみせ、最後を2枚看板の片割れ谷に託したが、パンクのトラブルに見舞われてしまい実らなかった。
しかし、佐藤ツインズが今日もしっかりと機能して存在感を示し、真っ向勝負を挑んだチームに重要なポイントをもたらすと共にプロトンに強い印象を与えた。
■ブラーゼンのオーダー
-エース-
谷
-サブエース-
大志
宇志
-アシスト-
柴田
憲人
下島
竹村
-フリー-
渡邊
引き続き、昨日と同様の配置を採用し、竹村・下島はよりポジショニングのサポートのみを意識。憲人・柴田は逃げの選別を重視。宇志・大志・谷は重要な先行に乗り勝利を目指す。渡邊はジョーカーとして、自由に飛び回る。
初日の展開を受けて、有力勢の動きに合わせて宇志・大志・谷・渡邊が複数人で先行集団に入り込み攻撃のチャンスをうかがうことが那須ブラーゼンの勝ち筋としてセットされた。
■序盤の展開
1周目の逃げの選別前の位置取りに下島・竹村がにらみを利かせる。
長距離のレース特有の“逃げを泳がせる”展開に見えた立ち上がり。2名が先行し、憲人・柴田ペアもこれを見送りと判断し、集団が容認をしたかに見えた。
このまま硬直状態になれば、2名が長めのタイム差つけて逃げ続け、集団はラスト5周ほどで一気にペースアップからの実力勝負に持ち込まれることが予想された。
那須ブラーゼンも無傷のまま勝負を託せるメンバー達が切符を得ることになるはず。
しかし・・・
集団がペースアップ。序盤にして宇都宮ブリッツェンが強力な3名を先行に送り込む攻撃をみせた。3日目にしてこの攻撃はチーム力への相当な自信の表れであり、各チームが状況の確認と展開の整理や逆算に混乱をきたした。ブリッツェンは数枚上手だった。那須ブラーゼンはこの先行が出来るまでの過程でも動きまくっていた渡邊がからくも先行集団に加わり、チームにとって最悪の展開に陥ることを防いだが、前日と今レース序盤の消耗をかなりひきずりながらの応戦だった。


タイム差は一気に拡大し3~4分へ。
先行のメンバーと人数から、群馬CSCにおいては致命的なタイム差に近づいていく。
■終盤の展開
このままではレースが先行集団に加わったメンバーのみで決着してしまうことが濃厚に。
消耗した渡邊のみが先行集団に加わっている那須ブラーゼンは、渡邊にローテーションに加わらないことを伝達。
後方集団では憲人・柴田ペアに集団牽引を伝え、先行集団をキャッチすると共に、佐藤ツインズ&谷の勝利は自力で手繰り寄せることを選択した。
柴田・憲人が献身的に集団牽引
憲人・柴田のローテーション介入により、同調したマトリックスパワータグ勢・ヴィクトワール広島勢との協調もあって先行集団とのタイム差は一気に縮小。
しかし、メイン集団中ほどでチャンスをうかがっていたキナン勢が集団をブレイクしに動く。
先行集団とのタイム差を20秒にまで詰めていたメイン集団は崩壊する。
時を同じくして谷がまさかのパンク後退し、佐藤ツインズに勝負が託されることとなり、登り区間で宇志に前方へのブリッジをかけるように指示が出される。
メイン集団に食らいついた佐藤兄弟
パンクに見舞われた谷
■ゴール
全選手が脚を消耗しきった状態で各々が前方を目指し続ける最終週~ゴール前へ。宇志が後方に取り残されそうになりながらも、独力で第2集団に食らいついていく。前方では増田の強烈な攻撃にホセ・ビセンテが応戦し2名が先行を形成。大志は3日間の疲労もあり、第2集団からドロップし単独20番手付近を走行。谷はパンクで遅れながらもチーム内から3人目までのポイントがチームポイントとなることから、あきらめることなくゴールを目指し続けた。
増田が驚異的な力を見せつけ、温存し続けてきたホセ・ビセンテを完封し勝利。
宇志が9番手争い集団内でスプリントに参戦し14位でフィニッシュ。
宇志が集団スプリントに加わり14位でゴール
大志も粘って25位でフィニッシュ。谷もチームポイントの為にフィニッシュまでたどり着いた。
■総括
想定される展開の中でもっとも攻撃的な展開に宇都宮ブリッツェンが力づくで持ち込んできた。実力を証明すると共に、強い意志を感じさせる3日目のレースとなった。
そのブリッツェンが先行で作りあげたレースに対して、憲人・柴田で牽引を選択した那須ブラーゼンは、明確に戦う意思と実力を示すことができた。
渡邊は自由を与えたことで翼が生えたように先行集団を飛び回ってチームに勝利の権利を引き込み続けたがさすがに疲労の色が隠しきれなかった。
谷のパンクが無ければもう一つ前の展開を佐藤ツインズと目指せた可能性があったかもしれないことが残念だが、佐藤ツインズが3日間通じてしっかりとチームの最高着順と共に、有力勢と肩を並べて戦い抜いて実力を示してくれたことは大きな収穫だった。
チーム全体が戦いそして勝利をもぎ取るチームとしての経験を積んだことを確かに感じることが出来た良い3日間だった。勝利をもぎ取りその証明を行える日を待てば良い。
Text:那須ブラーゼン 若杉厚仁 Photo:那須ブラーゼン 樋口峻明