1位 山本大喜 (キナンサイクリングチーム) 1h30m47s 40.64km/h
2位 西村大輝 (宇都宮ブリッツェン)
3位 山本元喜 (キナンサイクリングチーム)
4位 トマ・ルバ (キナンサイクリングチーム)
5位 阿曽圭佑 (eNShare Racing Team)
6位 増田成幸 (宇都宮ブリッツェン)
7位 門田祐輔 (Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
8位 大前翔 (愛三工業レーシングチーム)
9位 レオネル・キンテロ (マトリックスパワータグ)
10位 依田翔大 (Team UKYO)
15位 谷順成
30位 柴田雅之
38位 佐藤大志
39位 佐藤宇志
51位 西尾憲人
DNF 西尾勇人
DNF 下島将輝
DNF 渡邊翔太郎

出走=106名/完走=77名

15位に沈んだ谷順成は良いタイミングで脚を使い切ることが出来なかった

レポート

変則日程の名古屋、広島、広島3連戦のうち、メインといえる広島2Daysの一日目、予報通りに暑さ全レーサーが苦しめられるレースとなった。そんな中、前日のバンクリーグ名古屋大会でも優勝をおさめたキナンサイクリングチームの山本大喜が他の強豪の追随を許さない独走で勝利をかざった。

チームオーダー

谷、柴田を軸に、渡邊は専売特許のフリー、勇人、大志・宇志の佐藤ツインズら複数人で勝負にからめるように、下島、憲人は序盤の逃げ選定と中盤の牽引などを担うことを確認。
終盤に複数人が残った場合には、勝負どころの三段坂で攻撃に出て少人数スプリントか独走を狙う。
しかし、暑さは先行する選手達を消耗させると読み、基本的に、すべてのアタック良をい位置をキープしながら見送りたいというのが注意事項だった。

チェック機能を高める為に先頭付近でスタートを切ったウェルテス兄弟が献身的な働きをみせる

序盤の攻防

なんと、リアルスタートの前後で渡邊が落車に巻き込まれて復帰不能との無線が入るまさかの事態。切り替えるしかない。
レース距離は短いながら暑さによる消耗を警戒したプロトンからは様子見かキレを失ったかのアタックが散発する。ここを良いポジションで見張っていた勇人・憲人のウェルテスブラザーズが大人数の逃げのみしっかりとチェックする。

いくつかのアタックの後、2名の先行を集団が容認して序盤の攻防には区切りが打たれる。

憲人の前半パートの働きはチームからの全幅の信頼を得ている

チーム最年長の下島が広島のサーキットで自らと向き合っていた

中盤戦へ

先行を容認したメイン集団だったが、残り距離が少なく、先行の2名もペースが上がらないことから20秒程度のタイムギャップが大きく開いていかない。

次第に自然と距離が詰まり、再びアタックを狙う各チームが落ち着きなく動き始める。

あわや20名ほどの先行を許しそうなタイミングで「憲人いけ!」と兄からの指令が入る

終盤戦と指令ミス

入れ替わりで強力な3名が先行。増田(宇都宮ブリッツェン)、山本大喜、阿曽(エンシェアレーシングチーム)と強力なメンバーが入っているが、ブラーゼンはライバルチームの消耗を待ってラスト一周にかけたいという思惑から選手達をなるべく温存させるべく、無線で「見送り」を指示し、「大集団に潜伏」するように各選手に念を押した。

結果的にこの判断は仇となってしまい、同じ頃に追走集団として抜け出した、トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)、山本元喜(キナンサイクリングチーム)、大前(愛三レーシングチーム)の3名への追走の指示も送らない決断をしたことで、痛恨の最終列車の見送りはこの時に起きた。

指示を担当する若杉の思惑では、メイン集団にはマトリックスやTeamUKYOも潜伏しており、慌てて動けばその裏を出し抜かれる可能性があり、且つ、この時点でもブラーゼンは谷、柴田、たかし、ひろし、と後半に勝負すべき全メンバーが脚を残していた為「最悪牽引かブリッジを選択して追いつける。前は踏んでいて熱で消耗しているはず。」と他のチームを引っ張り出し、先行メンバーの崩壊を見据えて潜伏の色を濃くしてしまった。

遅すぎた牽引とブリッジの指示~フィニッシュ

 

レースはラスト一周に入り、先行3名に追走が迫っているという情報。メイン集団までのタイムギャップは伝えられないが1分程度か?けん制も入り失速すると読んだ先行集団と追走が速度を落としていない。また、ブラーゼン以外のチームは予想に反して消耗から集団牽引に上がってこない。

最終周で状況が明らかとなったところで佐藤ツインズに集団牽引を指示。同時に、柴田・谷は届かなくてもブリッジを敢行するようにオーダー。

しかし、タイム差はつまらないまま同調するチームが現れず佐藤ツインズは相次いで力尽きる。
続いて柴田から「牽引しますか!?」と確認の無線が入るがタイム差が縮小していない段階で柴田を使いたくないことから即答できない。間髪を入れずに「もうブリッジ行って良いですか!?」と再び柴田から確認が入った為、「行けるなら行ってほしい」とオーダー。

柴田と谷が後方集団化しているメイン集団内で出来る限りの攻撃を仕掛けた。しかし、ここはチェックが入ってしまい飲み込まれるだけの結果に。

先頭では山本大喜が独走に持ち込み、後方集団は6名でのスプリント争い。
やっと見えた8位争いスプリントに谷が挑むが、抜け出しをはかったダメージからもがけず15位に沈んだ。
柴田も少し遅れて、佐藤兄弟も更に遅れてフィニッシュにたどり着いた。
この日も「アシスト」の働きにふさわしい走りを見せた憲人も完走。

抑えに抑えた布陣は好調柴田の脚も持て余す結果となってしまった

佐藤ツインズによる牽引は真後ろにチェックにはいるチームが入ってしまい、同調するチームが上がってこなかった

今日はエースの一角・渡邊翔太郎の26歳の誕生日だった。あすこそは幸運の日になりますように。

総括

暑さによる不確定要素を抱えていたものの、消極策を選手達に押し付けてしまった結果が振るわなかったのは、指揮を司る自分自身の責任も大きい。消極策で振るわなかった今回は、積極策で大敗を期すよりも、悔いる部分が多く、後味の悪い1日目にしてしまった。群馬CSCの様なショートサーキットではレースを客観的にみているこちら側の方が的確に状況把握をして指示を送れたが、この広島のコースでは勝手が違っていて判断に窮するタイミングが何度もあった。群馬のレースで無線の指示が絶対的な判断の軸を占める様なシフトにしてしまっていたことが、チーム全体の柔軟な判断の妨げになってしまっていた。しかし、渡邊、谷、柴田、ひろし、たかしは相変わらず強力であることが確認できたので、全選手を出し切らせずに今回のメインレースといえる2日目に進めることは非常にポジティブな点だとも感じた。勝てる駒と脚は確実にブラーゼンにある。このチームで、これから何年も、「良いチームで良いレースが出来た結果が実った」という確かなを持ち帰りたい。

Text:若杉厚仁 Photo:樋口峻明