広島森林公園ロードレースDay1
12.3km×12周=147.6km

リザルト

11位 佐藤宇志
16位 西尾勇人
30位 谷順成
DNF 西尾憲人
DNF 佐藤大志
DNF 柴田雅之
DNF 渡邊翔太郎
DNF 竹村拓

詳細リザルトはこちら:https://jbcfroad.jp/result/104/

ランキング

■個人

21位 谷順成

詳細URLはこちら:https://jbcfroad.jp/ranking/jpt/?y=2020

 

■チーム総合

8位

詳細URLはこちら:https://jbcfroad.jp/ranking/jpt/team/?y=2020

レポート

前戦から約1ヶ月の期間をおいて、広島―大分と2週連続4レースが準備されている1レース目の広島森林公園ロードレースDay1は、147kmの長丁場で争われ、終盤に抜け出した30名弱の集団から、更に力業で抜け出した増田成幸(宇都宮ブリッツェンとリオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)のマッチスプリントに持ち込まれ、力を見せつけたキンテロが来日初勝利を挙げた。

ブラーゼンは残り4周で大きく動いたレースの中で、勇人と宇志を先頭集団に残したが、最後は実力勝負の展開となり、宇志11位、勇人16位の結果となった。

チームオーダー

1.谷
2.渡邊
3.柴田
4.勇人
5.宇志
6.大志
7.ケイト
8.竹村

広島中央森林公園のコースは逃げる選手達にとっても決して“逃げ損”のないコースであり、チームとしては先行する人数によっては必ずメンバーを送り込まないといけないと考えるところ。序盤の攻防と逃げの選定は全員で協力して行い、特に1~4番のエース級である谷、渡邊、柴田、勇人は有力選手のチェックを重視することを確認した。

そして、今回のレースで設定したもうひとつの重要な課題は、もしブラーゼンがメンバーを送り込まない先行集団が成立した場合は、ブラーゼンがメイン集団をコントロールしてレースを作るということ。この作戦の意図は、アシスト陣の消耗を強いる一方で、エースを集団前方のペースが安定していて落車のリスクが低い位置で走らせ続けることが出来ることで今シーズンはまだ一度も試したことはなかった。このレースにおいてプロトン内で先頭を牽いてレースをコントロールできれば、今後残されているシーズン終盤戦のレースでもチームとしてのイニシアチブが取りやすくなり、良いポジションを与えてもらいやすくもなる。

確実にアシストが消耗する戦術でもあるが、8名の足並みはどのチームよりも揃っているし、前戦をおえてからのここまでもこのようなシチュエーションを想定してチームで調整を行ってきた。実力者である谷・渡邊に最終盤の勝負を託すには一番確実な作戦でもある。

序盤の攻防

立ち上がりからアタックが散発し、主導権と先行争いでレースは活性化。
ブラーゼンは各選手が強力しながら力を分散して対応できている。

1周目で小森(マトリックスパワータグ)が先行するが1名であるため危険ではない。
2,3周目で追走が出て先行集団は3名となるが、マークをしなければならない選手ではないため、ここもブラーゼンとしては静観して次の動きを伺う。

メイン集団はブリッツェンが先頭を固めてこの3人の逃げを生かせて落ち着きそう。
タイム差が1分を超えたので散発するアタックも落ち着いた模様。

コントロール開始

ここでブラーゼンはオーダー通りメイン集団を牽引することを選択
「ケイトがリーダーとなって選手達を集めて、谷・渡邊以外は全員先頭でローテーションして集団をコントロール」と無線で指示が入る。前回4位に入っているサブエースの柴田を中心に声を掛け合って全員が前方に上がってきた。

ブラーゼンでプロトンを牽引すると同時に他のチームにも同調を求めるが、ここは消耗を避けたい序盤でもあることから静観されてしまう。しかし、逃げの3名に対してブラーゼンのアシストだけでも5名を揃えられている状況であることから、焦らずコントロールすれば十分射程圏内に収め続けることができると判断。
「他のチームに使われているかもしれない。」との柴田からの無線が入るが、「今日は他チームに利用されても良いのでこの体制を崩さずにやり続ける」と返答。

4~6周の間先行3名に対してプロトンはブラーゼンが先頭に出て1分程度の差をコンロトールする展開に落ち着いた。
谷・渡邊の良い位置で休めている。まだまだレースも序盤であることから、積極的に牽引に回っている勇人・柴田・ケイト・大志・宇志は休むことができないが、2枚のエースの脚には自信を持っているブラーゼンにとっては、二人を終盤に残せさえすればそれで良い。

6周目の下り区間でタイム差が30秒程度まで縮小してしまった。
これは意図していなかったが下り区間では大きな集団が有利なため加速がついて自然と差が縮まってしまった様だ。

活性化

先行3名とのタイム差が縮小したことで、各チームがブリッジや次の展開に備えてプロトン前方に上がり始めた。
選手達の無線から「ブリッツェンやキナンも上がってきている」との情報が入ってきている。「特に谷・渡邊はブリッジに警戒」と無線連絡。

各チームが集団前方に出てきたことでメイン集団には更に加速がつき先行3名とのタイム差は一気に縮小。吸収が見えて来た。ブラーゼンはまだまだ主力全員を残していて盤石の状態かに思われたが、渡邊がホームストレートに遅れて現れた。何か車輪にトラブルを抱えていた様だが無線が混線していたタイミングで状況がつかめていなかった。この遠征ではメカニックを担当している小野寺に車輪の交換を伝えコースに復帰させるが大きくタイムをロスしてしまった。

メイン集団は先行3名を捉え、各チームが再び先行と主導権争いに。
ブラーゼンも前方に固まったまま対応できている。しかし、柴田が少しきつそうなのが気がかり。

4名が先行し始めたがこれはブリッツェンとマトリックスが前を固めて容認しそう。
ブラーゼンは直前まで牽引をしていたので一度各メンバーを休ませる為に集団の中段から後方で静観。
しかし、少しポジションを下げすぎていたか?

終盤の攻防

4名の先行は2名に人数を減らし、やがて吸収が見えて来た。メイン集団も加速している。
ブラーゼンも終盤の攻防に向けてもう一度集中力を高めたい。

柴田、大志が遅れた。

マトリックスが登りで組織的にペースを上げてきた。映像ではブラーゼンが後方に固まっていたタイミングだった。
宇志、勇人が食らいついているが谷が厳しいか?マンセボ(マトリックス)のペースアップで集団が崩壊し、一列のこま切れ状態に。12人が先行し始めたがブラーゼンがのれていない。

中切れが多く宇志と勇人も細かい集団に食らいつきながら先頭集団を目指している。
なんとかとらえたがレースはもう残り3周。ブラーゼンは一気にメンバーが減って窮地に。
不調気味の谷は先頭集団に届かず遅れてホームストレートに現れた。

最終盤

先頭集団は30名ほどに。キナンとブリッツェンの打ち合いが続いている。ペースが上がり切って実力者同士のサバイバルに突入した為、もうここからは耐え続けるしかない。
勇人・宇志に託して激励の言葉を送るがかなりきつそう。

増田とキンテロが先行し始めたが、勇人と宇志は追い付いた直後で消耗していて集団についているのがやっとの状態。耐えるしかない。

最終周に入って先行2名の逃げ切りが濃厚に。
後方では3位争いが激化していて登りでペースが上がっている。中切れが多発し9名、数名、数名の形に。宇志、勇人の順番で細切れに点在しながらゴールに向かってきている。

増田を力でねじ伏せたキンテロが勝利。
3位争いはマンセボを先頭に、4名程度が先行してきた。

宇志が見えた。9位争いのスプリント。よく耐えてここまで走ってきたが満身創痍で11位フィニッシュ。
その後ろの集団に勇人が見える。ここも4名程度の集団だが勇人も出し切っていて16位フィニッシュ。
谷は大きく消耗して遅れていたが最終周に入っていたため完走を目指している。なんとかゴールにたどり着き30位フィニッシュだった。

総括

渡邊のトラブルが悔やまれるが、今チームで出来ることを敢行できたことはとてもよかった。まだまだ牽引などの経験をチームとして積んでいないため甘い部分もあったが、確実に今後のレースにつなげることが出来た。

最終盤の攻防は実力勝負であり、ここは各チーム4枚以上の選手で戦っていることから、エース級・サブエース級がここまではたどり着かないと優勝を争うことが難しい。柴田、谷の不調などの要素もあり、優勝争いへの参加は難しかった。そんななかでも、最後まで勇人・宇志が先頭集団に残ってくれたことは層の厚さの証明でもあったと思う。

チームとしては今回のレースでひとつまた勝利を挙げるチームへの階段を上がることが出来た。
今後の残り4戦ではこの経験が生きて、そしてチームの歯車が噛み合うレースが来るはず。
まずは2連戦の2日目でも成果を上げることを狙いたい。

 

Text:若杉厚仁 Photo:樋口峻明