広島森林公園ロードレースDay1
12.3km×6周=73.8km
リザルト
13位 佐藤宇志
15位 谷順成
27位 佐藤大志
42位 渡邊翔太郎
53位 柴田雅之
58位 西尾勇人
71位 西尾憲人
73位 竹村拓
詳細リザルトはこちら:https://jbcfroad.jp/result/105/
ランキング
■個人
21位 谷順成
詳細URLはこちら:https://jbcfroad.jp/ranking
■チーム総合
8位
詳細URLはこちら:https://jbcfroad.jp/ranking/jpt/team/?y=2020
レポート
2連戦の二日目は、前日とくらべて半分の距離で競われ、高速レースとなった結果、耐久力の問われる集団スプリントに持ち込まれ、ロングスプリントを征した西村大輝(宇都宮ブリッツェン)がJプロツアー初優勝を飾った。那須ブラーゼンは2日を通じて先頭集団で戦い続けた佐藤宇志の13位が最高位となった。
チームオーダー
1.渡邊
2.宇志
3.勇人
4.谷
5.大志
6.柴田
7.ケイト
8.竹村
前日の結果も加味し、コンディションを落としている谷と柴田は番号を後方に配置した。逆に前日早々にリタイヤとなってしまった渡邊がフレッシュであろうことから、他チームも前日の長丁場にエース級を消耗させていることを予想し、エースとして配置した。しかし、序盤の激しい先行争いは全員で均等に労力を分け合い、主要どころが動いた時のみ、1~4のエース・サブエース級がはずさないような選定を行うことを確認。
序盤の攻防
レース距離が短いことから逃げへの警戒感が高く、また今シーズンは特にハイスピードで厳しい展開が多い。この日の立ち上がりは特に早く、平均18分台で回ることの多い広島中央森林公園周回コースを16分台で回ってきた。
2周目に入り、何名かがパラパラと先行を狙う動きにでるが有力な選手達ではない。
「次に集団から動いていく選手達がいればレースを決める動きに発展する可能性があるので翔太郎中心に反応してほしい」と無線で連絡。
阿部(宇都宮ブリッツェン)と椿(キナンサイクリングチーム)の強力な2名がアタック、主要2チームの動きであることから渡邊自らが加速してブリッジを狙ったがここには届かなかった。だが、人数がすくないことと、マトリックスを中心に力のあるチームも残っており、焦らずにプロトンに潜伏して一旦落ち着きブリッジなどの動きに合わせて行けば良い。渡邊が集団に戻り、プロトンのペースが落ちたことを確認して次の対応準備に入る。
中盤戦へ
2名の先行パックは猛烈な勢いで踏んでいる。決死の逃げの戦法で、他のチームにダメージを与える動き。立て続けに16分台のラップを記録した後も平均ラップよりかなり早くラップを刻み続けている。2名とメイン集団の差は最大1分15秒程度まで。プロトンもかなりのハイペースで差が広がらないようにコントロールされている。
やはり先行にメンバーを送れていないマトリックスの組織力が目立つためメイン集団はマトリックスを中心に前方を固め始めた。ブラーゼンも前日にメイン集団の牽引を行って手応えがあったことから、この日もマトリックスのトレインに柴田と大志の2名を送り込んで牽引に同調する意思を示す。柴田、大志は消耗してしまうが、他のエース級選手達は集団の悪くない位置で休める。はずだったが、各チームが隊列を形成してポジション争いをしているプロトン内でブラーゼンはうまくポジションを上げられていない。何度か「二人を消耗させてしまうだけなので皆で前に上がって」と指示を出すがなかなかブラーゼンが良いポジションで固まることが出来ていない。
レース後にわかったことだが、各チームががっちりとトレインを形成して順番が固定化されており、割って入ろうとすると弾かれてしまって後方に追いやられるということだった。ロードレースの紳士協定においては牽引にメンバーを送り込んでいるブラーゼンにはメンバーを送り込んでいないチームのメンバーよりも有利なポジションが与えられてしかるべきだが、他チームの対応は不可解なものだと言わざるを得ないと思う。
終盤戦
先行集団をプロトンがじわじわと追い詰め始めており吸収が見えて来た。ペースも上がり切っている。サバイバルな展開に持ち込まれていることから、後は作戦や指示よりも選手個々の耐久力に頼るしかない。
距離も短くなっていることから、この先は以下にメイン集団に多くのメンバーを残せるかの戦い。
しかし、ブラーゼンは1.渡邊 2.宇志 3.勇人 4.谷 5.大志 6.柴田の6名を残しており、数的にも分は悪くない。
残り2周の登りで前日に引き続きマトリックス勢が先頭を牽引してペースを上げてきた。ここでパラパラと遅れる選手達が出始める。勇人は前日の疲労から、柴田は序盤からの牽引で脚を消耗していて段々と遅れ始めている。ブラーゼンは4名に。
「翔太郎で勝負するから耐えて!このまま逃げがいかないと思うから全員でなだれ込みスプリントの準備!」と選手達を鼓舞するが、最終周に入った後渡邊が遅れてしまった。
フィニッシュへ
最終周の登りでもペースが上がったが集団は完全にはばらけなかった。こちらでは渡邊が遅れていることが把握できていなかったため、「翔太郎中心になだれ込み。佐藤兄弟はできればホームストレートに入る前にかけてほしい」と指示。
フィニッシュに向けて一度もペースが落ちずにそのままスプリント体制に入りそう。
脚が問われる展開の為、タイミングよりも脚が物を言う。
5名ほどが少し前に出ていてブラーゼンは含まれていない。
最初に見えたのは宇志だった。渡邊が遅れていたことをここで知る。宇志と谷が近い位置でフィニッシュ。
少し遅れて大志。さらに遅れて渡邊、柴田、勇人がフィニッシュ。ケイト、竹村も大きく遅れながらフィニッシュ地点に帰ってきた。
総括
渡邊のコンディションが想像よりも上がってきておらず、勝負に絡めなかったのはとても残念だった。本来の調子を取り戻せばこの日の展開は一番向いているはずだった。
2日間を通じて先頭牽引をする試みが出来たことはチームの経験値になった。しかし、この日は特に“牽き損”となってしまったことがとても不可解で釈然としない。これではレースというよりは位置取り合戦になってしまっていて組織的な走りが無効かされてしまっている。プロトン内で位置取りがしやすいように存在を示し続けるしかないのか?他の修正点も模索していくしかない。
この2連戦は決して内容が悪かったわけではないが、結果に結びつけることが出来なかった。宇志が2日間を通じて相変わらずの安定感を示したことは好材料だが、チームとしてもっと爆発力が無ければ勝利まではたどり着くことができない。
シーズンも残すところ3戦となってきた。チーム総合も5位までは接戦であり、上位進出が1レースでもあればジャンプアップの可能性もある。最後まで勝利を目指すチームとして戦いぬきたい。
Text:若杉厚仁 Photo:樋口峻明