初戦の惨敗から、チームとして課題となっているクリテリウムに舞台を移した第2戦は必死にレースにしがみついていく展開が続き、前日の初戦に引き続き上位進出は成りませんでした。

以下レースレポートをお送りします。

 

 

リザルト

優勝 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
2位 孫崎大樹(スパークル大分)
3位 畑中勇介(キナンサイクリングチーム)



9位 渡邊翔太郎 
11位 谷順成
25位 柴田雅之

リーグ公式リザルトはこちら
https://jcleague.jp/race/2021/0328CR_Result.pdf

ダイジェストムービー

チームオーダー

<スターティングラインナップ>
No.2 谷順成
No.3 西尾憲人
No.4 西尾勇人
No.5 柴田雅之
No.6 渡邊翔太郎
No.10 佐藤大志

 

例年クリテリウムでの戦いには課題を抱えてきているブラーゼンは、今年もエーススプリンターが不在の状況でレースに挑むこととなる。

そのため、雨でナーバスなレースとなることも併せて、序盤は前で全員が展開して後方に取り残されて消耗をしないように立ち回り、宇都宮ブリッツェンの動きだけを注視してレースを進めるプランを敷いた。確率は低いがブリッツェンが攻撃的に走ってきたらブラーゼンも全員で攻撃的に走る。逆に小野寺選手のスプリントを狙うために集団をまとめてきたらとにかく消耗しないように潜伏し、ラスト4周で全員が集合→ラスト2周は自分たちのトレインを先頭に上げるチャレンジをする。渡邊は唯一トレインの中でローテーションの中に参加せずにスプリントを行い、スプリンターに紛れたなだれ込みのスプリントの中で上位を伺う。

前日の真岡芳賀ロードレースでも組織力と力を見せてきた地元宇都宮ブリッツェン勢を全チームが見ながら走ってくることは必至であると判断した。

序盤の攻防

レーススタート前から雨が一気に激しくなり、スタート直後は特にナーバスな空気が漂っていた。コーナーでのスリップダウンやクラッシュへの警戒から、得手、不得手が明確に表れやすい状況。

キナン勢、右京勢を中心に各チームが激しくアタックを繰り返していく中で、前方でケイトがこれらに対応していく。大志も序盤から悪くないポジションにいるので、「前はケイトと大志に任せておけば大丈夫そうか」と考えていた。しかし、それにしても他のメンバーがなかなか前に上がってこれていないのが気になっていた。

ブリッツェンがどうやら集団をまとめているように見えたので、2周目の時点で「今日はスプリントになる。無理に前に乗らずに消耗を避けよう」と指示。全員繰り返されるコーナーの連続に、無線へ手を伸ばす余裕もないので返事は返ってこないが何度か同様の指示を出して焦らないように伝える。

そうこうしているうちに3周目に大志を落車で失ってしまった。右膝付近を強打していてすぐに復帰が無理だとわかった。

前方がケイト一人になってしまい、中段あたりに柴田がいるが、谷、渡邊、勇人は後方にいる。
ポジションが後ろに溜まっていて自然に消耗しそうだ。

ケイトから無線が入り「ケイトきつい!誰か前に来てほしい」と訴えがあった。
「みんな少し前に行ってあげよう。ケイトに負担がかかってる」と伝えるが、簡単には上がってくることが難しそうだ。「今日はスプリントになるから追い掛け回さなくても良い。ケイト少し休もう。」と伝える。

柴田が少しポジションをあげたので少しケイトの負担を減らせそうだ。

 

激しい展開

レースは終始キナン勢、右京勢を中心にブリッツェンへの攻撃を加えていくが、ブリッツェンがこれを完封している。小坂選手が逃げの抑え役で再三出入りを繰り返し、危険な時には西村選手と増田選手が集団を引き上げている。「完封されている」と感じた。

ケイトが回復しきることができず最後尾から後退した。勇人もホイールの空気圧が合わず立ち上がりで消耗して遅れてしまった。
ブラーゼンは谷、渡邊、柴田の3名になってしまった。時折、個々に前方に上がっていく姿が見えるが組織的な連携ができている状態ではない。

 

 

最終盤からゴールへ

クリテリウムにおいてとれるポジションは中盤以降固定化しがちで、よほど余裕があるか技量がなければ自在にポジションを変えることができない。そのため、序盤から自分のスペースを好位置に確保しなければならないが、ブラーゼンが抱えているクリテリウムの課題はこの“ポジショニング”の影響も小さくない。

残り4周が近づいてきた。
「3人でもプランを決行しよう。隊列を組んで独自に上がっていく。最後はなだれ込み。」
無線で連絡するが、脚もきつい状態だし、前方のポジション争いは激しいのでここには入りこめていないようだ。柴田がよさそうな位置にいるが、渡邊、谷はまだまだ後方にいる。

残り3周
「上がれるのは向かい風の区間なので次の直線であがっておこう」
と声をかけるが、やはり上手く噛み合っていないようだ。

残り2周に入りブリッツェンがトレインを形成し始めた。キナン、右京勢も攻勢をかけているが増田選手らを中心とするブリッツェン勢が優勢だ。

残り1周
増田選手を中心に集団が高速化してだれも前に出られていない。ブラーゼンの3人はなんとか隊列になりつつあるが、高速化している集団のかなり中段当たりにいる。

バックストレートをブリッツェントレインが先頭で突っ込んでくる。
「これはブリッツェンにやられてしまった」と悟った。谷、渡邊が10番手あたりの中切れにあいながら必死にもがいている。

最後の直線に入り増田選手と西村選手のブロックの脇から小野寺選手が解き放たれた。

渡邊が後ろからもがいたが9位。渡邊を引き上げた谷が11位。
渡邊、谷を牽いた柴田は少し遅れてゴールした。

若杉コメント

第1戦に続いて厳しい結果を受け止めることとなりました。前日のロードレースに比べれば勝利への期待値は薄かったと言わざるを得ないものの、宇都宮ブリッツェンに2連勝をされたこととは対照的に勝利までの距離を遠く感じたクリテリウムとなってしまいました。

エーススプリンターが不在の那須ブラーゼンにとって、クリテリウムで勝利を狙い且つ優位にレースを展開するのには向かないことは否ません。しかし、再三表現し続けている通り、各選手たちのフィジカルパフォーマンスは折り紙付きであり、渡邊、谷のエース2枚看板も大きな爆発力を持っている為、うまくハマればクリテリウムでの上位進出も遠くないはずと期待をしていました。

しかし、結果としてはチームの経験値と技術面をフィジカルだけでは補うことができず、勝利への距離を遠いものとしてしまったと痛感しています。中段での潜伏は作戦のうちではあったものの、後方に追いやられて消耗を強いられたシーンも少なくなく、逆に前方で展開しているほうが消耗を抑えられるクリテリウムにおける正攻法を実行するには遠い内容だったと思います。

開幕2連戦を終えてより明確となったのは、宇都宮ブリッツェン、キナンサイクリングチーム、チーム右京相模原、スパークル大分といった歴戦で勝利を上げてきている選手達を擁するチームに対して、粗削りな那須ブラーゼンはチームプレイや戦術・技術面においてもっともっと研ぎ澄まされたものを持ち合わせなければならないということでした。

抽象的な表現になりますが、勝利を上げるには「匂いを嗅ぎ分ける」ことや「勝ちの味」を知らなくてはなりません。これをチームとして勝ち取ってきたチームにはメンバーの入れ替わりはあれど「勝利の気配」が帯びるもので、今回の那須ブラーゼンと対照的に宇都宮ブリッツェンには“王者”の風格が漂っていました。

レースを勝っていくために必要なフィジカルは養ってこれたことは間違いありません。勝利の風格とオーラをチームとして勝ち取っていかなくては勝利を上げ続けるチームなることはできないことを強く強く刻み込まれた苦い開幕となりました。那須ブラーゼンの2021シーズンの勝利へのテーマはこのことに尽きますが、手にしてしまえば勝利を量産できると信じていることに変わりはありませんので、一つ求めるテーマを再修正して、必ず近く勝利をもぎ取り、風格をもってシーズンを戦う姿を皆様におみせしたいと思います。

公式戦は次戦が5月末のツアー・オブ・ジャパン(UCI2.2)となり、期間が空くこととなります。今できる対策を徹底的に講じて、必ずシーズン中の勝利量産を実現したいと思います。