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ツアー・オブ・ジャパンを締めくくる東京ステージでも那須ブラーゼンは強豪勢に果敢に挑戦し、最終的に谷が個人総合9位、チーム総合4位でレースを終えた。

3日間を戦い抜いた選手・スタッフ

 

リザルト

《ステージ順位》

1位 川野碧己(弱虫ペダルサイクリングチーム)

2位 小林海(マトリックスパワータグ)

3位 沢田桂太郎(スパークルおおいた)

13位 谷順成

14位 渡邊翔太郎

 

《個人総合順位》

1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)

2位 Thomas Lebas(キナンサイクリングチーム)

3位 山本大喜(キナンサイクリングチーム)

9位 谷順成

 

《チーム総合順位》

1位 マトリックスパワータグ

2位 キナンサイクリングチーム

3位 チームブリヂストンサイクリング

4位 那須ブラーゼン

 

快晴の中で行われた最終ステージ

東京都大井ふ頭で行われた東京ステージは、登りが一つもない完全フラットな7kmコースを16周する112kmのレースで例年通りツアー・オブ・ジャパンが締めくくられた。

那須ブラーゼンは谷の総合順位をひとつでも上げるべく、すべての中間スプリントポイントで1位通過を狙う作戦と渡邊のゴール勝負を念頭に事前のミーティングを行った。

谷の個人総合時間賞の前のホセ選手(マトリックスパワータグ)とのタイム差は8秒。中間スプリントは1着で3秒のボーナスタイムを獲得できるため、1度でも1着を取り逃した場合全員で渡邊のスプリントをアシストするプランでレースを進めた。

最後のチャンスに懸けるため、入念にミーティングを行う

スタート直前までSUTTO MASKを着用する

 

チームのサポートを得て中間スプリントに挑む

レースは3kmのパレード走行の後、リアルスタートが切られた。

パレード走行で道いっぱいに広がる集団

今大会は1日目が富士山、2日目は逃げ切りの展開ということもあって、アピールできていない選手などが逃げを決めるために序盤からアタック合戦が激化する。

谷はスプリントポイントの奪取の為、逃げに乗る作戦であったが、アタック合戦の激化により1回目のスプリントポイント(4周回目)まで逃げが決まらないと踏んで、集団内で体力を温存した。

序盤のアタックには柴田が対応し、一時抜け出す場面もあったが、勢いのある集団に飲み込まれた。

序盤のアタックに対応した柴田

 

アタックが繰り返され、逃げができては吸収される展開が続き、1度目のスプリントポーンとが設定される4周目へ。

集団のままスプリントポイントに差し掛かったため、西尾が谷にスプリントさせるべく集団先頭まで引き上げ、ペースを上げた状態で谷を発射させた。

先頭を突き進んだ谷だったが、ライバルとなるホセ選手の総合を守るべく、マンセボ選手(マトリックスパワータグ)がスプリントし、谷と横並びでスプリントポイントを通過。

スプリントポイントでボーナスタイム獲得を狙った谷

 

谷は惜しくもマンセボ選手に僅差で敗れ、2位通過となり2秒のボーナスタイムの獲得にとどまった。

2位通過したことにより総合順位の逆転のチャンスがかなり厳しくなったブラーゼンは、渡邊のゴール勝負に全てをかける作戦へシフトした。

 

 

優勝候補を含む逃げに渡邊が入る

その後は集団からアタックが続き、ブラーゼンも対応する場面もあったが、基本的に集団が一つのまま進んだ。

 

集団前方で対応する柴田

 

9周目になってようやく逃げが決まり、その中には連日逃げに果敢に乗っている渡邊の姿があった。

逃げのメンバーは東京ステージの優勝候補を含む5名。快調にペースを上げ集団から40秒ほどのタイム差まで開いた。

3日間連続の逃げを敢行した渡邊

メイン集団は残り距離を消化するにつれてペースを上げ、タイム差を徐々に詰め最終局面を迎えた。

 

逃げ集団から2名が抜けだし逃げ切りへ

 

残り3周の時点で、逃げと集団の差は20秒ほどまで縮まった。

残り約20kmで20秒差というタイム差は、集団に吸収されることがほぼ確実なタイム差の為、逃げの中でスプリント力のある岡本選手(愛三工業レーシングチーム)、横塚選手(チーム右京相模原)、そして渡邊が牽制状態となり、他の2名と離れてしまう。

渡邊は他の大半の選手と同様に集団スプリントとなると踏み、集団へ戻った。

 

抜け出した2名

集団に戻る選択をした渡邊

 

優勝候補の岡本選手が戻った集団では、監督からの無線が今大会ないことから、十分な情報共有がされず逃げが全員吸収されたと勘違いするチームもあり、一度大きくペースを落とし逃げとのタイム差が広がる。

一時20秒ほどまで縮まったタイム差は残り1周強で1分10秒まで広がり逃げ切りがほぼ確実なものとなった。

 

集団はスプリントに向けペースを上げたが逃げの2名には届かず、先頭は逃げ切り。

集団では、谷、渡邊が集団スプリントに挑み、13・14位となった。

スプリントに挑んだ渡邊

逃げ切った選手に、谷から個人総合で10秒程度の遅れだった小林選手(マトリックスパワータグ)がいたため、谷の個人総合順位をひとつ落とし、個人総合9位、チーム総合4位で2021ツアー・オブ・ジャパンを終えた。

 

若杉監督コメント

第3ステージは、谷の個人総合時間賞の順位をひとつでも上げることと、渡邊のスプリント勝負で上位を狙うことを目標に走りましたが、激しく読みにくい展開ということもあってどちらも逃す結果となってしまいました。

谷の中間スプリント獲得へのチームの動きは素晴らしく、3日間通してアシストとしての仕事を全うした西尾が谷のために献身的なアシストを今日も見せていました。

かなり薄い可能性に懸けた作戦ではありましたが、ライバルチームにあっさりと潰され、まだまだ実力差を痛感する結果となりました。

渡邊は、優勝した選手を含む逃げ集団に加わり終盤まで残っていましたが、大半の予想とは違うイレギュラーな展開となったことからかなり難しい判断となったと思います。

失敗となってしまった東京ステージではありますが、当初の目標であった個人総合時間賞10位以内という目標は達成し、那須ブラーゼンとして大きな経験と自信を得た大会となりました。

まだまだ経験の浅い選手が多く、ブラッシュアップしていく箇所が多いチームではありますが、今回の大きな経験を得てチーム全体がまた1段レベルアップしたと実感しております。

間違いなく、国内最強レベルのチームということを今回確認できましたので、今回浮き彫りになった課題を改善し、引き続き選手・スタッフが一丸となり今シーズンの残りのレースを戦います。