「第2回ツール・ド・とちぎ」が本日すべての日程を終え閉幕しました。

これだけの大会を受け入れ、開催したこの栃木県を誇りに思うとともに、本当に素晴らしい大会にしてくださったすべての方々に改めて御礼を申し上げます。
大会へ賛助頂いたボランティアの皆様はじめ、どれだけのご尽力にによってこれだけの大会が開催実現に至ったのかと思うと、感謝に堪えません。
この時代に、サイクルロードレース界の一員として皆さんのご尽力の恩恵にあずかれることは、この上ない幸せです。

さて、今日は、そんな誇るべき「ツール・ド・とちぎ」を通して、“サイクルロードレース界の未来に触れた”エピソードをご紹介したいと思います。

去る2月28日、那須ブラーゼンや宇都宮ブリッツェンが主たる活動の場としている「Jプロツアー」を運営するJBCF((一社)全日本実業団競技連盟)より新理事長就任と共に、理事会改選についての発表がなされました。

理事長に元F1ドライバーでチームUKYOの代表を務める片山右京氏が就任し、副理事長に近代ツール・ド・フランス日本人として初出場したレジェンド・今中大介氏、専務理事に宇都宮ブリッツェンGM・廣瀬佳正氏、他理事にTOJレースディレクターの栗村修氏、オリンピアンであり元マトリックスパワータグ監督・安原昌弘氏らが就任するなど、サイクルロードレース界の未来を切り拓く新たな布陣が明らかにされました。

このニュースは「Jプロツアー」を主戦場とする那須ブラーゼンにとっても、私個人の見解としても大変明るい兆しだと捉えています。
サイクルロードレースは、広く社会に接するモビリティである自転車のほんの一面に過ぎないわけですが、とはいえ、日本国内ではそのポテンシャルも生かすことが出来ていませんし、サイクルスポーツの面から自転車の広い可能性にアプローチをするためにも、JBCFの体制が整えられ、“自分達の向かうべき先が何たるか”を示されることは大変重要なことであると思います。

その中で、今回の「ツール・ド・とちぎ」第1ステージで片山右京新JBCF理事長とトークショーをご一緒させていただき、久しぶりにゆっくりその言葉に触れることが出来ました。
片山氏の言葉ひとつひとつには、大きな明るい未来を共有し、聞き手にもその情景をイメージさせる力があるのだと改めて感じました。

片山氏とは、宇都宮ブリッツェン時代に“チームメイト”だった時期もあり、沖縄遠征では同室だったこともありました。当時20歳だった僕は、ケガや体調不良を繰り返して、選手として暗いトンネルの中にいる時期でした。そんな僕に、片山氏がかけてくださった言葉が今でも強烈に印象に残っていて、時にはブログ内の文章にして言葉を送って頂いたこともありました。本当に世界を見た人の真の言葉には、果てしない力があることを知った時でした。

片山氏には、我々では到底計り知れない能力がお持ちでなることは当然ですが、この「言葉の力」は、今まだ芽吹いていないといえる日本国内のサイクルロードレースにとって、最も必要な力なのではないかと感じました。その、“我々のボス”の発する言葉と、描くヴィジョンに、多くの意志が集い未来を見ることで、限りない前進を遂げられる原動力となるでしょう。

今回、トークショーには廣瀬専務理事、栗村理事も登壇されていて、「渡良瀬遊水地サイクルサミット」と銘打たれていたのですが、控室で事前に打ち合わせをした際の会話は、正にサイクルロードレース界のみならず、“自転車の未来”について語られる場でした。
それは、もちろんJBCF(Jプロツアー)の発展を念頭に置きながらも、その枠組みを超え、これからの社会における自転車の活用が、必ず多くの幸福を生み出すと信じる思いの結集によってなされる会話でした。

私自身にとっても、「そこまでたどり着けて初めて自分達の携わる仕事が成就したことになるな」という感覚を想起しました。

そんな、片山氏はじめ、今中氏や栗村氏が口々にこの「ツール・ド・とちぎ」は“サイクルロードレースの未来”だと言わしめたのでした。

©YUKIO MAEDA/M-WAE