更新の滞っていたブログを久しぶりに更新しますね。
先日、ブラーゼンサポーターの方が読めるメルマガにて、僕が「アシストに転向」したと思っている方がいましたが、「ベストを尽くせる場所を変えながらエースを目指す」という話しです。
エースを諦めたのでは無く、チームのために出来る最善の策を施しながらチャンスをモノにしていくというわけです。かつてリッチーポートがフルームを置き去りにして勝ってしまったように、ベストを尽くしながらしたたかにレースを走るように心がけたのです。
前置きはここまで。
10/11 経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ
180km
〜展開予想–作戦〜
この日の展開で考えられたのは2つ
①本命案:逃げができて距離を消化し、最後にマンセボに引きずられながらゴールのパターン
②大穴案:泳がされる少人数の逃げから、ブリッジによって膨れた逃げが最後まで行ってしまうパターン(ブリッジにマンセボも乗る)
即ち、マンセボによってレースが決められてしまうということを念頭におかなければならない。
①だと集団にて脚は溜められるが、終盤のマンセボの鬼引きに耐えられるかどうか、
②だと自分の脚が削られすぎてしまうため、結局キツい上に、逃げ切るという確率が低すぎる
レース前のチームトレーニングで180kmのトレーニング(間にレース走2回、どちらも2着)を敢行しており、自分自身の調子の良さはわかっていたので、脚質的に逃げに乗る方がチャンスが巡ってくるだろうと思い、個人的には逃げ&前待ち作戦に決めた。
チームの作戦としては柴田さん&谷さんが逃げ。勇人と翔太郎さんで勝負という作戦。
これまでのレースはアシストに徹底していたため、集団内で出来ることをサポートしていたが、今レースは初めてサブエース的なポジションで走る事を許された(勝ちを狙いに行っていい)ことが逃げにトライした大きな要因。
〜前半の展開〜
谷さんのファーストアタックから勇人がジョイン、散発的なアタックから5人の抜け出しに柴田さんが乗る。
補給所を過ぎた所で捕まり、その下りで2人が抜け出しすかさずジャンプ。追いついた所で「GOGO!!」と逃げ切りを図る。およそ1分程開いたところで泳がしタイムが始まったとペースを刻むように話す。
3周目の中間ポイントは話し合い僕が貰うことに。シマノ風間くんとグリフィン永冨くんありがとう!その後レバンテ佐野さんと弱ペダ前田さんがジョインして5人。
逃げでは、泳がされているのでペースで走り、ブリッジには注意しながら、終盤に備えて走ろう。と、ベテラン佐野さんがまとめてくれる。
2019年のツールドとちぎ、エスケープメンバーの中で馬鹿みたいに引いて結局DNFになってしまった過去を思い出し、今回は如何に脚を溜めながら且つ溜めている事を悟られないように走るかを心がけた。
6周目の中間スプリントはまとめ役の佐野さんが「俺にくれ!」と言い佐野さんに決定。逃げの中では揉めないのが鉄則。話し合いで解決することに無駄に体力を消耗しないようにする。
〜中盤〜
10周目あたりか、ブラーゼンがコントロールしているから引かなくて良いという指示。
逃げの4人に伝え、ローテをパスする。ココで逃げ集団内に亀裂が走る。揉めないのが鉄則だとわかっていたが、チームからの指示。4人からの視線は痛く、非常に苦しい場面が続いた。
チームは牽引することで、僕の脚を休ませることができる。吸収された後や、強力なブリッジ等からのふるい落としに耐え、少しでも勝ちに近づけるように作戦を変更したのだ。
「ケイトで行くかもしれないから、脚を溜めて終盤でも勝負できるように準備しておいて欲しい」と無線で指示が飛ぶ。このあたりから覚悟を決めた。「勝ちに来ている」と。
マンセボやトマが追走に入ったと聞いた時は、集団も動くしなにより早すぎないか?と、焦ったがトイレ休憩だと聞いてほっと一息。
15周目あたりから、19周目の中間スプリントに向けて再びローテに入るように指示。
この辺でシマノの木村選手が単独で追走に入り風間選手がローテをパスし始めたので、ちょうど入れ替わりのようにすんなりローテに復帰。木村選手の追走は直ぐに諦め、風間選手もローテに復帰したところで改めて5人で回ることに。
19周目の中間スプリントも話し合い。結果、明るく逃げを盛り上げていてくれた風間選手が獲得することに。無線では絶対に獲るようにと指示が入っていたが、この空気感では断念。チームランキングで直ぐ下に序列している弱虫ペダルの前田選手に渡るとチームランキングにも響きそうだったが、それも避けられたのでここは無理せず、風間選手が獲得。
〜終盤〜
中間スプリントが終わりラスト10周を切ると嘘のようにタイム差が縮まる。「吸収後の動きに警戒!」
群馬の特性上、捕まるなら心臓破りを越えた後が望ましいと考えていた。
ラスト9周、心臓破りの坂に向けて、物凄い勢いで集団に吸収される。
ペースの上がる集団内の後方にチームメイトがいたため、吸収後も前方で次の動きに備えた。
実はこの4人での抜け出しの時をあんまり覚えていない。気づけば4人だった。
ブリヂストン橋本選手、シマノ中井選手、レバンテ佐藤選手の4人。
みるみるタイム差が広がり、このまま4人で行けるか?と、淡い期待を抱く。実際はどのチームも、動くにはまだ周回が残りすぎているため、全体のペースが緩む時間帯になっただけだった。いずれにせよ最大1分50秒まで開いた時は少し、逃げ切りに向けてワクワクもした。が、あまり上手く回らない。
5周を切るあたりからは一気に1分差もなくなり、吸収に備えた。やはり捕まるなら心臓破りの坂を越えてからが良い。
と、27周目の心臓破りで捕まり、前方で展開したかったが思いの外、脚が売り切れていた。
チームは大志と谷さんしか残っておらず、エースと据えられていた翔太郎さんと勇人がトラブルで遅れていた。本来ならここでお役御免だが、チームランキングを考えると少しでも上の順位でゴールしなければならない。
だが売り切れた僕の脚ではマトリックスのゴールに向けたペースアップに対抗する力は無く、29周目の心臓破りで遅れる。
なんとか集団から5秒差で最終回に突入するが、補給所を過ぎた所で力尽きてしまい、一つでも上の順位を取るために最後まで踏み抜いた。
〜総括〜
逃げでは弱虫ペダルの前田選手が自分の結果を顧みずにかなり力を使って牽引してくれたし、佐野さんは常に声をかけてくれたし、風間選手は明るく盛り上げてくれいた、永冨選手は「初めて逃げに乗ります!」と、彼の一生懸命さが僕を冷静でいさせてくれた。
チームの指示で心苦しかったし、レース後はTwitter等で批判されたのも事実。ただ僕は勝ちにきてる。次はそう言われないように勝ちに行けるだけの力を付けるので、また走りましょう。
逃げに乗っている間に、チームがコントロールをしてくれたおかげで僕は脚を溜めることができた。コレが最後まで走りきれる大きな要因だった。復帰戦の新開や、ベテラン柴田さん、そして大志らが動いてくれたおかげ。
また集団内にエースとして勇人や翔太郎さん、いつも安定的な谷さん、そして宇志がいるとわかっていたからこそ2度目も思い切って逃げに乗れた。
皆んなが僕に懸けてくれたおかげで獲得できた敢闘賞。
逃げきれ無かったことは悔やまれるが、自分としては納得のいく結果です。
チームの皆んなには本当に感謝。
サポートしてくれた慶と若さん、そしてホイールを供給してくださっているGOKISOの皆さん、ありがとうございました。
ブラーゼンサポーターには現地で観て欲しかった。もしサポーターの方が会場にいたらこの辺で応援してくれていただろうな〜と、勝手に想像しながら走っていたら力が湧いてきました。皆さんの存在がどれだけ大きいのか、改めて感じました。
来シーズンからは着順で表彰台に上がれるようにするので、皆さんこらからも応援してください。
最後に、こんな状況下でも様々な対策の元、レースを開催、運営して頂いた方々、本当にありがとうございます。
西尾憲人
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